Fortranプログラムは主に数値計算の用途で使われますが、正しい計算結果を求めるための計算プログラムの開発は容易ではありません。特に誤差を小さく且つ高速に計算させるプログラムの開発には、アルゴリズムの習熟に加え、キャッシュの振る舞いや計算誤差の発生メカニズムについてなどの幅広い知識や経験が必要です。幸いなことに、NAGには、上述のような知識と経験を持つ専門家が作成したNAG数値計算ライブラリ（＝数値計算サブルーチン集）が存在します。本記事では、Fortran Builderを用いて、NAG数値計算ライブラリを利用する手順をご紹介します。

Fortran Builderでは、別途オプショナルの機能としてNAG数値計算ライブラリが利用可能です。NAG数値計算ライブラリには1950以上のサブルーチンが含まれますが、これには数理最適化（関数の最小化／最大化）、固有値問題、線形方程式、非線形方程式、フィッテイング、相関／回帰分析、擬似乱数発生、FFT、 ウェーブレット変換、メッシュ生成、偏微分方程式、等の幅広い計算分野のルーチンが含まれます。（詳細は https://www.nag-j.co.jp/naglib/nl/doc/man/fl/manconts.htmをご参照ください）

Fortran BuilderにはNAG数値計算ライブラリの各ルーチンのExampleプログラム（及びそれに与えるサンプル入力データと出力結果例）が含まれているため、ユーザはとても簡単にライブラリを利用するプログラムを活用できます。

1. メニューのプロジェクトの新規作成を選択します。

   

2. NAG LIB アプリケーションを選択します。

   

3. 利用可能なExampleプログラムの一覧が表示されるので、任意のものを選択します。

   

4. サンプルプログラムとそれに与えるための入力データ、及び出力結果例がロードされます。

   

5. プログラム実行ボタンを押します。

   

   これによりプログラムのコンパイル、リンク、実行が自動的に行われ、以下のような結果が得られます。