ソフトウェア レビュー

ENDNOTE

 私は歯科医学教育学という比較的マイナーな分野での研究を行っております。研究のみではなく診療も行っていることから、必要とする論文の分野は、歯学の中でも教育系のみならず臨床系のものから、医学教育の分野、さらには教育学や心理学など多岐にわっております。そのような中で、私は論文の整理をパソコンのフォルダ分け、階層分けによって行っておりました。したがって、読んだはずなのにどこの誰だったか…といったことも少なくありません。そのような状態が、今回このソフトを使ってみてかなり環境が整備されてきました。本来であれば、劇的に変わったというべきなのかもしれませんが、EndNoteも魔法のソフトではありません。実際に使用してみてなのですが、まず英語表記については、これを必要としている方であれば全く問題ないと思います。丁寧な日本語の説明書もついており、またネット上によりよい使い方の情報はたくさんあります。逆に言えば、直感的な操作によってなんとかなるというものではありません。導入には全く抵抗はありませんでしたが、自分が欲する状態に持っていくためには、しっかりと読み込み、使ってみて慣れていくことが大事になってきます。また、もともと持っているpdfからの取り込みについては、論文の入ったフォルダを読み込ませて、著者名や雑誌名などの情報が全て取り込まれたのは全体の13.3%でした。私の持っている論文の問題もあるかと思いますが、全てが簡単にいくものではありません。しかしながら、残りのものを1つ1つ追記していくかというと、そうではありません。本当に必要としている部分は、もう一度PubMedやCiNiiなどから取り込む方が断然楽です。さらにはGoogle Scholarにも対応していますので、検索や再構築については非常に簡便に行えると思います。論文作成の段階での投稿規定についてですが、海外雑誌はほぼ問題ないなと感じました。しかしながら、国内については全てを網羅しているわけではありません。もちろんマイナーな雑誌が、マイナーなとんでもない投稿規定を採用しているわけではないので、ほとんど問題となることはありませんが、自分の主戦場としている分野の雑誌がないという方は往々にしてありうると思います。
 全体的にネガティブな意見が多いと感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、あくまでもソフトウェアは万能では無いというだけです。ただ、このソフトをしっかりと使いこなすことの出来る人は、必ずや自身の研究や臨床に役立てることができると思います。最後に、購入するのであれば早いに越したことはないと思います。論文をしっかりと読むようになってから、溜まってきてから、教員や研究者となってから…などではなく、早い段階で導入して、このソフトで整理する癖をつけておけば今後に大いに役立つと思います。決して安価なソフトとはいえませんが、論文に関わっていく年数を考えると値段の価値を見出すことができると思います。



ENDNOTE

 参考文献表を作るときはWordで外国語文献、日本語文献、音源とフォルダ分け保存していましたが、書式を整えることや、並べ替えてまとめることに時間を要していました。また、データベース上で保存しておいた文献情報も複数あったので、それらをまとめ、重複したものが無いかチェックすることに苦労していました。
 End Noteはデータベースから簡単に文献情報を取り込み、一括で管理することができます。殆どのデータベース内にEnd Noteへの取込みがあるので、それを押せば入力することなしに情報を取り込むことができます。End Note内からアクセス可能なデータベースもあるので、そこから直接End Noteに取り込むことも可能です。重複したデータはチェック機能もあるので、取り除くことができます。
 また、取り込んだ文献情報はグループ分けすることが可能です。現在も文献収集をしていますが、グループ分け機能によって文献の量が一目瞭然なので、文献収集をする際の目安にもなり、便利な機能です。
 そしてデフォルトにない書式は開発元ホームページからダウンロードし、編集することも可能です。音楽系の学術論文には主にシカゴ・マニュアル・スタイルが使われていますが、私の通う学校ではシカゴ・マニュアル・スタイルを基にした独自の書式が使われています。書式の編集機能では似たスタイルを基に学校独自のスタイルに編集することも可能なので、学校独自の書式指定がある場合も対応が可能です。
 最も便利だと感じたのは参考文献表の自動作成機能です。End Noteに取り込んだ情報を簡単な操作で文献表が作れるので、今まで苦労していた文献表の作成から解放されました。
 まだ本格的な執筆に取りかかっていないため文献収集の段階でのレビューですが、今後執筆するにあたってPDFからの取込みや、引用表記機能も活用したいと思います。
 音楽大学院の実技専攻の学生は論文提出だけでなく、実技発表も同時期に行われるため、共に入念な準備が必要です。そのため実技にも論文にも効率良く時間を使わなければなりません。しかし、文献表が重要視されながらも、実技系の学生は実技と論文執筆に集中するあまりに文献表作成は後手に周りがちだそうです。End Noteはそんな忙しい実技系の学生にも役立つソフトだと思いました。まだ文献管理ソフトは学生だけでなく、論文指導の先生の間でも認知度が低いので、今後研究室に導入できるように活用していきたいと思います。



ENDNOTE

 今回この商品をモニター応募する際に、修士課程の時には文献管理にEXCELを使用し、手入力で大変な思いをしたので、今回はきちんと文献管理ソフトを使用したい、と考えていました。
文献管理ソフトは使ってみて自分に合うか合わないかを考えるには、日ごろ試す機会もないし、という理由から、応募し、試用する機会をいただいたわけですが…。
 結論から言うと、ものすごく便利でした。レビューを書くまでに使用できた期間も1週間くらいと短かったため、本当に少しだけのことになってしまいますが、感想を。
 使い方に「慣れること」が必要かもしれませんが、職場からの文献検索の結果も、学校での検索の結果もどこからでも共有できるデータになること、検索システムからそのままダウンロード可能であること、そして、3台まで使えることで、移動中も含めいろいろなところでパソコンによる入力作業をする私にとっては、紙データが手元にない、膨大な紙データと格闘するというストレスから解放される可能性が非常に高い、というのが最大の魅力です。
 PDFなどの種類も問わず管理できますし、投稿先の規定に合わせて、引用の仕方が簡単に変えられることも便利な機能です。
 インストールの作業等は英語になりますが、End Noteは活用方法の市販書籍も多く、英語がわからなくても使用できますし、システムになれたら、学部生であっても活用しやすいと思います。
迷っている方にはお勧めできるソフトです。